カブ向けっぽい特許なんですけど、オートでシフトアップ&シフトダウンするみたい。DCTの簡易バージョンって感じすかね。
ホンダの変速制御装置の特許
シフトモータ等の制御態様の工夫により自動変速式車両の使い勝手を向上させた変速制御装置を提供する。
2019年11月出願の特許です
エンジン(21)のクランク軸(22)と変速装置(50)との間に配設されると共に、クランク軸(22)が所定回転数(Ne1)を上回ることで切断状態から接続状態に切り替わって駆動力を伝達する遠心式の発進クラッチ(45)と、発進クラッチ(45)と変速装置(50)との間に配設されると共に変速装置(50)の変速動作中に接続状態から切断状態に切り替わる変速クラッチ(60)と、変速装置(50)の変速動作を行うシフトモータユニット(100)と、シフトモータユニット(100)を制御する制御部(300)とを含む変速制御装置において、制御部(300)が、車両の減速中にクランク軸(22)が所定回転数(Ne1)を下回らないように、自動的にシフトダウンを行うオートシフトダウン制御を実行する。
え、なにそれ。
自動遠心クラッチのモデルを自動変速させちゃうぞ
本出願人は、乗員の足操作による変速を行うことなく、また、シフトモータの制御態様により必要なエンジンブレーキを確保できるほか、自動変速とすることで生じる種々の課題を他の制御で補うことを知見し、使い勝手を向上する可能性を見出した。
ミッションついてる自動遠心クラッチのモデルにモーター付けて自動変速させちゃうぞーって特許です。あらーすげー
ベース車両はタイカブ系
ちなみに車両の図。タイカブですね。
エンジンの断面図。
エンジンの図。
上記のエンジンの図ですが、新型グロム系エンジンがベースで描かれています。
ちなみにこちらは旧型グロム系(モンキー125)エンジン。ね、特許の図は新型がベースでしょ。
ホンダの多板の自動遠心クラッチのモデルってカブ系しかありませんので、恐らくはカブ向けの特許ですね。
オートでシフトアップ、シフトダウンする
こちらブロック図。
減速時のオートシフトダウン
こちら減速時のオートシフトダウン制御のフローチャート。
- Ne:エンジン回転数
- Ne2:上昇制御開始回転数
- Ne3:オートシフトダウン開始回転数
ちなみにNe制御装置400なるもの(スロットルバルブ、アイドルコントロールバルブ)が付いてまして、それでS7の回転数を上げる制御してるよ。
自動でブリッピングとかしてくれてる感じすね。
こちらはタイムチャート
- Ne1:所定回転数(例えば2,500rpmだとか)
- c1:変速クラッチの切断容量
惰行時のオートシフトアップ
惰行時のオートシフトアップのタイムチャート
- V:車速
- V1:オートシフトアップ開始車速
- Ne1:所定回転数
- c1:変速クラッチの切断容量
惰行時のオートシフトアップのフローチャート。
- V:車速
- V1:オートシフトアップ開始車速
惰行時の半クラッチ制御のフローチャート
- V:車速
- V2:惰行時半クラッチ制御許可車速
- Th:スロットル開度
- Th1:所定開度(例えば20度)
車速が決められた値より遅くて、スロットルちょっとだけ開けてたら半クラッチ状態になるみたい。へぇー
惰行時の遠心クラッチ接続制御
フローチャート
- V:車速
- V3:惰行時遠心クラッチ接続制御開始車速
タイムチャート
スロットルバイワイヤだよ
Ne制御装置400は、スロットルバイワイヤによるスロットルバルブ401またはアイドルコントロールバルブ402とすることができる。
上記の通りに回転数の上昇制御とかありますんで、もちろんスロットルバイワイヤです。
手動&自動で変速できるよ
本実施形態に係る自動二輪車1は、変速マップ301に基づいて自動的にシフトアップおよびシフトダウンを行うオートマチック変速のほか、ハンドルバー8bの近傍に設けられたシフトスイッチ(不図示)によって変速操作が行えるセミオートマチック変速が可能とされている。
DCTと同じ様に、ハンドルに付いているスイッチでの手動(半自動ですが)での変速と、全部オートの変速が出来ます。スロットルバイワイヤだからね。
この特許、どういうモデルに採用されるんじゃい
ポジション的には小排気量向けDCTっぽいけど
エンジンの図はカブ系ですし、自動遠心クラッチはホンダはカブ系ぐらいしか居ないです。最大でも125ccすね。
しかしながらスロットルバイワイヤは比較的排気量が大きいモデルや、お高いモデルに採用されがちです。ホンダだと最小排気量はCBR250RRですね。
125ccのカブ系のモデルで上級グレードとして採用するとかですかねぇ?でも125ccでこういうの採用すると車両価格が高くなりますよね。流石に125ccでこれはちょっとやりすぎ感があるような。
ヤングマシンさんにCT150とか載ってたけど、それ向けでは?
こちらヤングマシン2021年6月号の楽天の広告です。
こちらヤングマシン2021年6月号のAmazonの広告です。
この表紙にCT150 HUNTERCUBとあります。
私はCT150に関する情報は何も得ていませんが、ヤングマシンさんは新型125ccカブ系は排気量上げることができるのでは?的な事をたびたび書いてましたし、表紙でScoop!ってやってますので、恐らくは何かしらの情報なりを掴んでるんだと思われます。
現状だと今回の特許のオート変速な自動遠心クラッチが採用されそうなモデルは特になさそうですが、上記CT150が出るのであれば今回の特許が採用される可能性はありそうだなと思いました。
追記:仕組み的にはAGSに似てるよ
今回の特許の仕組みはオートで変速したり、ボタン操作でセミオートでシフトアップやシフトダウンが出来ます。
なのでやれることがDCTと似てるけど、DCTと比べて比較的コストが低く作れそうな物なので、簡易DCT的な?と表現しました。
今回の特許は自動遠心クラッチにモーターつけて自動変速させてますので、仕組み的にはAGSに似てるよ。
大体そんな感じです。
そういえばホンダはAMT系の特許とか出願してますし、AMTのモデルが出るって噂も以前聞いたことがあります。ホンダは自動変速系で色々やってるみたい。
現在の最小排気量のDCTはNC750系のモデルです。写真はX-ADV
小排気量向けのDCTは現在ありませんが、そういう物が欲しい方は今回のオート変速遠心クラッチのモデルをどうぞって感じなんでしょうか。
特許の図はカブ系ですが、今後もう少し上の排気量でもこういう技術が採用されたエンジンが出てくる可能性も多少はありそうですね。可能性は低そうですが。